ボラ 〔ボラ属〕 ぼら科 学名:Mugil cephalus cephalus
 
沿岸や河口域などの浅所で群れを作ってすみ、流れの弱い河川では中流域までさかのぼる。主に表層で生活し、水面上へ飛びはねる姿がよくみられる。産卵は秋から冬で、外洋のやや深い所に移動して行う。眼にはしけん脂瞼という膜があり冬季には著しく発達する。海底の泥の中にある有機物や藻類などをえさにしている。水の汚染にも強いため、場所によっては身に臭みがあり食用にされないが、本来は刺身やフライにすると美味である。旬にあたる秋冬季には寒ボラと呼ばれ格別おいしい。発達した卵巣は加工しカラスミの名で珍重されている。ボラは汚染に強く日本各地の沿岸に分布することから、近年問題の"環境ホルモン"の指標種として注目されている。魚類のメスは、卵黄の源になるビテロゲニンというタンパク質を、女性ホルモンの働きによって肝臓で作り、それが血液によって卵巣に運ばれ、蓄積される。しかし、汚染が進行した大都市近郊の海域にすむボラのオスでは、メスにしかないはずのビテロゲニンが多量に検出されている。それは女性ホルモンと同様な働きをする化学物質が環境汚染によりオスの体内に蓄積し、オスがメス化しているためである。メス化したオスの生殖腺を顕微鏡で見てみると、精巣内に卵母細胞が出現しているのが確認される。このようにボラは、沿岸にすみ、汚れた環境にも強いので、海域ごとに環境ホルモンの影響を比較するに都合が良いと考えられている。