イセエビ 〔イセエビ属〕 イセエビ科 学名:Panulirus japonicus
 
岩場の海の岸近くから水深40mあたりまでに棲み夜行性である。体色には変異があるが茶褐色の個体が多い。尾部の腹側にある平たいひれ状をした腹肢が鮮青色なのが特徴。触角も脚も長くて頑丈で、歩行に適したエビである。昼は岩穴や岩棚の下などに隠れており、夜に出歩いて貝類・ゴカイ・小型のエビ・カニなどを食べる。産卵期は6〜8月頃でメスは腹に卵を持ち、ふ化した幼生はクモを踏みつぶしたような不思議な形をしたプランクトンになる。約 300日の浮遊生活後、エビ型の幼生になって沿岸に到達し、そこで稚エビに変態する。変態当初は透明で長さ2p程度だが、脱皮を繰り返して約2年で体長15p、体重150gほどの立派なイセエビに成長する。小さい間は脱皮の間隔が短く、イセエビに近縁のゴシキエビを当館で飼育した例では、最初は約20日ごとに脱皮し、一年間で10回脱皮した。イセエビをつかむとギーギーという音を発するが、これは敵を威嚇するためと考えられており、長いヒゲ(第2触角)のつけ根にあるヤスリのような発音器官をすり合わせて発生させる。味が良い上に姿が立派なので食用エビの王様として重要な水産資源である。しかし、外洋で浮遊生活を過ごす時期の生態が良く分かっていないため、養殖も未だに試験レベルに止まっている。そのため各地では産卵期を禁漁期として資源保護に努めている。イセエビは伊勢の特産種ではなく、その昔、鳥羽や志摩地方で水揚げされたものを伊勢の商人が買い取って江戸や京都に送ったためにこの名がついたと言われる。