クロダイ 〔クロダイ属〕 たい科 学名:Acanthopagrus schlegeli
 
日本各地の沿岸の砂泥底にすみ、濁りのある海底を好み、そこにすむ二枚貝やカニなど種々の小動物を貪欲に食べる。昔から日本人にはなじみの深い魚で、貝塚からはうろこも見つかっている。旬は冬季で、その味はマダイにも劣らない。関西ではチヌ、関東や中部では1才をチンチン、2才をカイズ、3才以上をクロダイと呼んでいる。釣り対象魚としての人気は高いが、警戒心が強く、クロダイ釣は技術の要るむずかしい釣りである。そこで考えられたのが、清水港などで行われているダンゴ釣り、あるいは紀州釣りである。共にえさとなるモエビやオキアミなどを釣り針に掛け、次にオカラ・魚粉・麦およびサナギ粉などを混ぜたま撒きえさで、エビなどを団子状(直径5〜6p)に包み込み、えさの入った団子を海面からドボンと投げ入れる。団子は海底に到達するとほぐれ、匂いと濁りによって魚を集める役目を果たし、同時に釣り針に付けたえさを海底に届け、クロダイに喰い付かせようと言う訳である。クロダイなどのタイ科の魚は、一般に一生のうちにオスからメス、あるいはメスからオスに性転換する。そのうち、 クロダイをはじめとするキチヌ、ヘダイなど黒っぽいタイは、初めオスの機能を果たし、成長するとメスに性が変わる雌雄同体魚である。クロダイは子供の時に、精巣と卵巣の両方を持つ両性生殖巣を作り、その後、まず精巣が大型になり、多量の精子を作りオスとして性機能を果たす。そしてさらに体が大きくなると、精巣は次第に縮小する一方で、卵巣が拡大して卵巣卵の発達をみせ、産卵期にはメスの性機能を果たすのである。しかし、一部のクロダイは一生オスのままの個体もいる。