☆ 加藤 登 ☆
東海大学海洋学部水産学科教授。2002年4月、食品メーカー「紀文」の研究所より同大学に赴任。国内における国際的な食品衛生管理「HACCP」のデザインを担当した水産食品業界の権威。
カキは、英語の月のスペルでRのつかない5月から8月は食べるなといわれ、生食用の養殖カキでも肥えて甘みを増す秋から冬にかけて市場に出回ります。生の魚を食べない欧米人でも、カキだけは例外として生食しています。牛乳と同じ栄養価があるため「海のミルク」といわれるほど、タンパク質や脂質、ミネラル、ビタミン類に富み、スタミナ不足の解消、病後や産後の回復などに効果があり、精力食品ともいえるでしょう。カキのうま味成分は、タウリンやグリコ−ゲン、アラニン、グリシン等のアミノ酸やコハク酸によるものです。通常食べているカキは、卵生の養殖真ガキが多く、夏カキとして胎生の岩ガキなどもよく知られています。
一般成分での比較 (100g中、5訂日本食品標準成分表)
エネルギー 60kcal
水分 85.0g
たんぱく質 6.6g
脂質 1.4g
炭水化物 4.7g
灰分 1.1g
タウリン 1,178mg
DHA 92mg
カルシウム 88mg
マグネシウム 74mg
1.9mg
亜鉛 13.2mg
0.89mg
葉酸 40μg
EPA 160mg
コレステロール 51mg
カキのエネルギ−は60kcalと少ないですが、タンパク質や糖質(グリコ−ゲン)等の栄養分を含む健康食品といえます。他の魚介類と比べると糖質が著しく多く、この糖質は、グリコ−ゲンで消化吸収されやすい栄養素です。牛乳はエネルギ−67kcalでタンパク質3.3g、脂質3.8g、炭水化物4.8gであり、カキの方がタンパク質と糖質が多いのがわかります。また、灰分も牛乳の0.7gに対し3倍も多く含まれています。



カキのヌルヌルしている粘質物にはタウリンが多く、血中コレステロ−ル値の増加を抑制する効果や血圧を正常に下げる作用をするので、高血圧によって引き起こされる脳卒中や心臓病などの予防効果があります。ミネラル成分として、亜鉛は発育を促進し、傷の回復を早め、味覚を正常に保つ働きもあります。銅は、鉄を利用してヘモグロビンの合成を助け、貧血を予防することが知られています。
ビタミン類での比較 (100g中、5訂日本食品標準成分表)
レチノ−ル 22μg
ビタミンD 2μg
ビタミンE 1.2mg
ビタミンB1 0.04mg
ビタミンB2 0.14mg
ナイアシン 1.4mg
ビタミンB6 0.08mg
ビタミンB12 28.1μg
ビタミン類(100g中)では、ビタミンB2とB12が多く含まれており、ビタミンB2は、細胞の再生やエネルギ−の代謝をうながしたり、健康な皮膚や髪などをつくり、過酸化脂質の分解も助けます。B12は、葉酸と協力して赤血球の生産をしたり、神経細胞のタンパク質、脂質、核酸の合成を助け、神経系を正常に働かせます。また、鉄、銅、亜鉛、ビタミンB12、葉酸は、貧血防止に必要な栄養素です。
カキに含有される主な栄養素に関連する病気に対する働き
動脈硬化の防止 タウリン、EPA、DHA
視力低下の防止 タウリン、EPA、DHA
肝臓病予防 ビタミンA、ビタミンB12、タウリン、DHA
味覚障害予防 亜鉛
悪性貧血の予防 鉄、銅、ビタミンB12、タウリン