☆ 加藤 登 ☆
東海大学海洋学部水産学科教授。2002年4月、食品メーカー「紀文」の研究所より同大学に赴任。国内における国際的な食品衛生管理「HACCP」のデザインを担当した水産食品業界の権威。
カツオは全世界の暖流に広く分布する回遊魚で、日本近海では5月ごろ黒潮にのって房総沖を北上し、秋になると三陸沖から北海道でUタ−ンして南下します。前者は、「初ガツオ」と呼ばれ、「目に青葉山ホトトギス初ガツオ」の句のごとく初夏の味覚の代表として親しまれています。後者は、「もどりガツオ」と呼ばれ、初ガツオに比べ脂肪の含有量が多くDHAも豊富で、味もさっぱりした初がつおに比べ濃厚です。
一般成分での比較 (100g中、5訂日本食品標準成分表)
初カツオ
エネルギー 114kcal
水分 72.2g
たんぱく質 25.8g
脂質 0.5g
炭水化物 0.1g
灰分 1.4g
ナトリウム 43mg
カリウム 430mg
カルシウム 11mg
マグネシウム 42mg
リン 280mg
1.9mg
亜鉛 0.8mg
0.11mg
もどりカツオ
エネルギー 165kcal
水分 67.3g
たんぱく質 25.0g
脂質 6.2g
炭水化物 0.2g
灰分 1.3g
ナトリウム 48mg
カリウム 380mg
カルシウム 8mg
マグネシウム 38mg
リン 260mg
1.9mg
亜鉛 0.9mg
0.10mg
カツオは時速60kmで泳ぎ回ることができる強靱な筋肉を持っているので、たんぱく質の量、質ともに優れています。特に初夏のカツオは、たんぱく質が多い割に脂肪が少なく、高たんぱく低エネルギ−食材として、ダイエットの人やお年寄りなどにオススメです。鰹節は、保存性がよく栄養価が凝縮されているので、登山などの非常食として利用されています。
カツオの血合い肉は、ビタミンA、B1、B2、B12、鉄分(吸収のよいヘム鉄)などの宝庫で、病後や産後の体力回復に有効です。また、カツオはイノシン酸を中心にイミダゾ−ル化合物(うま味成分)が豊富なので、大変美味しい魚である反面、ヒスチジンも含まれているため、鮮度が落ちるとアレルギ−を起こしやすくなるので注意が必要です。
ビタミン類での比較 (100g中、5訂日本食品標準成分表)
初カツオ
レチノ−ル 5μg
ビタミンD 4μg
ビタミンK 0.3mg
ビタミンE 0μg
ビタミンB1 0.13mg
ビタミンB2 0.17mg
ナイアシン 19.0mg
ビタミンB6 0.76mg
ビタミンB12 8.4μg
葉酸 6μg
パントテン酸 0.70mg
ビタミンC Tr
もどりカツオ
レチノ−ル 20μg
ビタミンD 9μg
ビタミンK 0.11mg
ビタミンE 0μg
ビタミンB1 0.10mg
ビタミンB2 0.16mg
ナイアシン 18.0mg
ビタミンB6 0.76mg
ビタミンB12 8.6μg
葉酸 4μg
パントテン酸 0.61mg
ビタミンC Tr
カツオはビタミン類も豊富で、特にビタミンB12は魚類の中でトップクラスの含有量であり、貧血の改善などに有効です。食欲不振や不眠を改善するナイアシンも豊富で、切身一切(100g)で成人男子の一日分の所要量を満たすことが出来ます。このナイアシンは鰹節にも含まれているので、ほうれん草のお浸しにかけたり、だし汁料理に使うと健康のためによいでしょう。
カツオに含有される主な栄養素に関連する病気に対する働き
皮膚炎の予防 ナイアシン
貧血の予防と改善 ビタミンD、ビタミンB12、鉄(血合肉)
疲労回復 ビタミンB1、ビタミンB2
消化不良の改善 ナイアシン
ボケ防止、動脈硬化の防止 DHA、IPA
高血圧の予防 タウリン、DHA、IPA