 |
|
|
 |
 |
 |
(松島)今日は、とっても春を感じるお料理でした。色とりどりの旬の食材や春らしい盛付けなど、味はもちろんのこと、視覚からも存分に楽しませて頂きました。料理で季節を感じることって、なんだか楽しい気分になりますよね。
(木村)そうですね。やはり、春といえば色々と新しい食材が出てくる時期ですから、お召し上がるお客様も、作り手の私達も季節感を楽しむ部分では共通しているでしょうね。旬の食材を調理する私達も、春らしく自然と弾んだ気分になりますし、そういうところから料理にも明るい感じ、華やかさが出てくるのではないでしょうか。 |
|
 |
(松島)食べるのがもったいない程、手の込んだ盛付けでしたよね。ぱっと目の前にお花畑が広がっているような。
(木村)気持ちの方から召し上がって頂くと、余計に美味しく感じられるのでは?ということで今回のような形にさせていただいたんですよ。 |
 |
(松島) それに、敷き物っていうんでしょうか?お盆の上に敷いてある紙ですが、1枚1枚、手で書かれていましたよね。ほっと心が和むような言葉や挿絵には、さりげない部分にも心地よく季節を表現されるんだな。というご主人の心意気を感じました。
(木村)お客様には「料理だけではなく、その空間に季節感を感じて頂きたい」。そんな我々のひとつの想いがより広がりを増して伝わっていけばと考えておりますので、その時期にあった表現を1枚1枚社長が手作りしているんです。
(松島)すべて違ったものをお作りになると、お書きになるのも大変なことですよね? |
 |
|
 |
(木村)そうですね。社長は絵を先に書いてみて、その絵から文章を考えると、自然とインスピレーションを受けると申しておりますが・・・。
(松島)最初は、見事なお料理に目を奪われていたので、敷紙の方まで気にしていなかったのですが、お料理を下げて頂いた時にふと見ると、つくしが描いてあったりして。「ここにも春を見つけた」って、ちょっと嬉しくなってしまいした。
(木村)つくしの頭が地面から顔を出している光景は、まさに春を感じますよね。 |
 |
 |
(松島)話が変りますが、さっき頂いた小鉢の「芹胡麻和え」ですが、胡麻の香りの良さにびっくりしました。私も家庭でよく作る料理なのですが、どうやったらあんなに上品で風味豊かな仕上がりになるのか、後でお伺いしようと思っていたんです(笑)。あの味は、特別な胡麻か何かを使われているからなのですか?
(木村)外国産の胡麻が主流のなか、私たちは内地物の胡麻で、通常「ミガキゴマ」や「ムキゴマ」と呼ばれている胡麻を使っています。これは、胡麻についている薄い皮をきれいに取り除いた胡麻なんですよ。それを一度鍋で煎り、和える前にスルんです。私たちの商売では「擂る」ことを実際は、アタルっていうんですけど、ご存知ですか? |
|
 |
(松島)あぁ、アタリ鉢とか言いますよね。
(木村)えぇ、胡麻を擂るときに使う、アタリ鉢とかアタリ棒とかね。あれで、アタリまして、お砂糖、お醤油、味醂とお出汁で味を整えまして、さらに裏ごしをして…。それなりの手間をかけていますので、ザラッとしなくて、とても滑らかになるんですよ。やっぱり、煎ってすぐなので胡麻の香りが豊かなんですね。でも、胡麻のペーストを使ったりすると、あの独特のいい風味が出てこないんですよ。たかが胡麻かもしれませんが、昔からこういう部分にも、きっちりと丁寧にこだわっていきたいと思っています。それに、食材を選ぶ時も、地元の食材、また生産者の顔が見えるものに厳選し、出所がはっきりしない食材は使わないことにしているんです。 |
| |
(松島)なるほど。お客様に安心して召し上がって頂くというのは、お店の極意ですよね。ちなみに、木村さんは修業の方はどちらでやられたのですか?
(木村)私は玉川楼で7年間お世話になり、その後、東京と大阪の老舗料亭で2年ほど修行を行いました。
(松島)それでは、この仕事を始めて何年目になるんですか?
(木村)33年目になります。修行8年目に静岡より出まして、10年目に、ここ(玉川楼)に人生を賭けてみようと思い、社長の元で仕事をさせて頂けるようになったんです。ですから社長には、本当に色々と御世話になっているんですよ。
|
 |
|
 |
 |
(松島)そうなんですか。でも、修行された関西風の味と静岡ではちょっと好みが違ったりしませんか?
(木村)そうですね(笑)。静岡に戻ってきますと、やっぱり私が修業して学んだ関西風の薄い味付けと、少し濃い味が好まれる地元清水のお客様とでは、好みも多少違うものですから、ふたつの味を使い分け、地元のお客様にも納得して頂ける「玉川楼の味」をお出しするように心掛けています。ですから、お客様にここまで育てて頂いたと感謝しております。 |
|
 |
(松島)そうだったんですか。でも今日のお料理はメリハリが効いていて、すんなりとお腹に入っていったというか・・・。本当に最後まで楽しみながら頂けました。
(木村)ありがとうございます。特にお椀物とお刺身には力が入りまして。素材の新鮮さはもちろんですが、春の花や、桜の枝など季節感を醸し出す脇役の演出も欠かせませんよね。
(松島)そのような演出もお料理を頂く私達にとっては、楽しみのひとつですよ。
(木村)そうですよね。でも、料理人として、外から見るだけではわからないような部分にも工夫をしていきたいなと思っているんです。 |
 |
|
| |
(松島)その工夫とは?
(木村)よくテレビでやっているような裏技ってあるじゃないですか。あのような事も時にはするんですけども、どちらかと言うとちょっと聞いただけでは分からないなっていう手法も取り入れていきたいと思っています。要するに、食材をより美味しく召し上がって頂く為に惜しみなく時間をかけるということでしょうか。例えば胡麻豆腐も、うちのように真っ白いものはあんまりないんですよ。その料理ができるまでに、いろんな手間隙をかけているんです。今まで「手をかけて作る」という事を教わってきたものですから、料理人としてそれを崩すわけにはいかないんですよね。
(松島)そうですね。熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たくと、丁度いい時に頂いて、その絶妙なタイミングは本当にお見事でした。
(木村)ありがとうございます。それは、小人数のお客様だからこそ、その様子をすべて把握できる事に理由があるんですよ。例えば、東京の大きな料亭の調理場ですと、板前も多くて調理場も広いので、多くのお客様がお見えになっても対応できるかもしれませんが、ここ(玉川楼)ではそうもいかなくて(笑)。どんな料理も同時に作らなくてはいけませんし、本当に申し訳ないと思っています。 |
 |
 |
(松島)でも、心地よいおもてなしを感じることはお料理を頂く上で欠かせない要素と思うんですよね。そういう点では、このお仕事はその時、その時がお客様との勝負なんですね。お料理にしても、様々な演出にしても、とても満足致しました。色々と楽しいお話ができてよかったです。ありがとうございました。
(木村)こちらこそ。ありがとうございました。 |
|
 |
   |
|
 |
|